中小企業のファイルサーバー選び|NASとクラウドどっちがいい?失敗しない3つの判断基準
「会社のファイルはどこに保存していますか?」と聞くと、「各自のPCの中」「共有用のUSBメモリ」「10年前に入れたファイルサーバーがそのまま」という答えが返ってくることがよくあります。ファイルの保存場所は、業務効率とデータ保護の土台です。この記事では、中小企業のファイル共有の二大選択肢である「NAS」と「クラウドストレージ」を比較し、自社に合った選び方を解説します。
NASとクラウドストレージ、それぞれ何が違う?
NAS(ナス:Network Attached Storage)は、社内ネットワークに接続して使う共有ストレージです。「オフィスに置く、みんなで使える外付けハードディスク」とイメージすると分かりやすいでしょう。データは自社のオフィス内に保存されます。
クラウドストレージは、インターネット経由で使うファイル置き場です。Microsoft 365のOneDrive・SharePointや、Google Drive、Dropboxなどが代表的で、データは事業者のデータセンターに保存されます。
どちらも「社内でファイルを共有する」という目的は同じですが、得意・不得意がはっきり分かれます。
NASのメリット・デメリット
メリット
- 社内LANの速度でアクセスできるため、大容量ファイルの読み書きが速い
- 月額課金がなく、一度導入すれば容量あたりのコストが安い
- データを社外に出さない運用ができる
デメリット
- 機器の購入費用が初期にかかり、故障・寿命(目安5年前後)への備えが必要
- 社外からのアクセスにはVPNなどの追加設定が必要
- 設定・更新・バックアップなど、面倒を見る人が社内に必要
クラウドストレージのメリット・デメリット
メリット
- 社外・自宅・スマホからもアクセスでき、テレワークや外回りと相性が良い
- 機器の故障対応や更新作業が不要で、管理の手間が小さい
- ユーザー数に応じた月額制で、小さく始めて後から増やせる
デメリット
- 月額費用が人数分ずっとかかり続ける
- インターネット回線が遅いと、大容量ファイルの操作にストレスがある
- 共有リンクの権限設定を誤ると、社外に情報が漏れるリスクがある
コストの考え方|「5年間の合計」で比べる
よくある失敗が、「クラウドは月額数百円だから安い」「NASは本体だけ買えば終わり」と、目先の金額だけで比べてしまうことです。クラウドは人数×月額が使い続ける限りかかりますし、NASは本体価格に加えて、設置・設定の費用、バックアップ用の機器、5年前後での買い替えまで含めて考える必要があります。おすすめは「5年間の合計額」で並べて比較すること。人数が少ないうちはクラウドが安く、人数や容量が増えるとNASが逆転する、というのがよくある傾向です。
失敗しない3つの判断基準
基準1:社外からファイルを使うか
営業の外回りが多い、テレワークがある、拠点が複数ある。こうした会社はクラウドが第一候補です。逆に「全員が毎日オフィスに出社し、社内でしか使わない」ならNASのシンプルさが活きます。
基準2:扱うファイルの大きさ
CADデータ、設計図面、動画、写真素材など、1ファイルが数百MB〜数GBになる業種は、社内LANの速度で使えるNASが有利です。ExcelやPDFが中心の事務作業なら、クラウドで困ることはほぼありません。
基準3:面倒を見る人がいるか
NASは導入して終わりではなく、更新プログラムの適用やバックアップの確認といった世話が必要です。IT担当がいない会社が「入れっぱなしのNAS」を放置すると、故障して初めてバックアップが取れていなかったことに気づく、という最悪のパターンになりがちです。管理する人がいないなら、クラウド、もしくは外部の保守サポート付きでNASを導入するのが現実的です。
「両方使う」が現実解になることも
実務では、NASとクラウドの併用がベストになるケースも多くあります。たとえば「普段の書類はクラウドで共有し、大容量の設計データは社内のNASに置く」「NASをメインにしつつ、そのバックアップをクラウドに逃がす」といった構成です。バックアップの基本である3-2-1ルール(コピーを3つ・2種類の媒体・1つは社外に)とも相性の良い考え方です。詳しくはクラウドバックアップ入門の記事もご覧ください。
選ぶ前に知っておきたい注意点
1つ目は、RAIDはバックアップではないこと。NASの多くはディスク2本構成(RAID)で片方の故障に耐えられますが、ランサムウェア感染・誤削除・火災や水害には無力です。NASを選ぶ場合も、別の場所へのバックアップは必ずセットで考えてください。
2つ目は、NASもクラウドもランサムウェアの標的になること。感染したPCから見える共有フォルダは、NASでもクラウド同期フォルダでも暗号化の被害を受けます。世代管理されたバックアップ(過去の時点に戻せる仕組み)があるかを必ず確認しましょう。
まとめ
NASとクラウドストレージに絶対の正解はなく、「社外から使うか」「ファイルの大きさ」「面倒を見る人がいるか」の3つで判断するのが失敗しないコツです。迷ったら、いま契約しているMicrosoft 365などに含まれるクラウドストレージから小さく試すのも良い選択です。
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